2009年2月20日金曜日

弱者の強み

 先日マイクロソフトとの包括的な事業の覚書に調印したばかりですが、早くも地域活性化を目指した本格的ICTモデル事業が動きだします。
 大都市への一極集中によって、地方は人口減少と高齢化が進んでいます。特に過疎の村は限界集落となり、インフラ整備も進まず取り残されています。
 そんな中、過疎の村でもアイデア次第では全国に注目を集める事を証明したのが、徳島県上勝町の「葉っぱビジネス」です。上勝町ではICTを活用した事が、成功の大きな要因でした。

 既存の地域活性化事業は、大きな施設にお金を注ぎ込むハード偏重の事業が主でした。
 しかし、バブル崩壊後は、こう言った事業は施設の利活用が進まず維持費ばかりが嵩むだけとなっています。これはハードにばかり予算を回した結果、中長期 的な観点での運営面(ソフト面)にお金が回らなかった事が要因の一つと考えられます。いくら施設が立派でも、それを運営するビジョンが無ければ長続きしな いと言う事です。
 この反省から最近ではハード偏重主義から、ソフト重視へと移行する考えが出てきました。

 まさにICTの活用はその流れに沿って動きです。
 ICTにもインフラ整備や、最低限の設備投資は必要です。
 しかし、ハード偏重型の事業と違い、最初は小規模で初めて、事業の進行に応じて徐々にバージョンアップする事が可能です。また、事業の見直しが発生し ても、柔軟に対応が可能です。お金が無い地方の自治体でも、アイデア次第でアクションを開始出来る、弱者向きの事業モデルと言えます。

 このICTモデルでは、発想力やコンテンツ力が重要となってきます。
 しかし、素晴らしアイデアなど早々出て来る物ではありません。ましてや地域内の特定の人間だけが頭突き合わせて考えても、何の良いアイデアは浮かびません。
 ここでICTの「C」の部分「コミュニケーション」が有効になってきます。地域内の多くの人とのコミュニケーションにより、地域の活力が上がってきま す。同時に外のより広い世界からの情報収集や、先進地の方々とのコミュニケーション中から新しいアイデアが生まれます。結局、人と人との繋がりの中からし か、イノベーションは生まれないのです。
 富士町の試みが佐賀県全体、果ては日本全国に新しいムーブメントを生み出す切っ掛けとなる事を期待します。

【追記】
 ちょっとだけ本音を(^_^;)
 実は私は玄海町に対して2年ぐらい前から、これに近いモデルを提言してきました。しかし、町は全く興味を示しませんでした。時代が変わり情報化の重要性が分かってきた今になって、町は慌てています。
 この記事を見た時に正直、「やられた!」と言ってしまいました。



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富士町モデルにICT地域づくり 佐賀新聞(2009/02/20)

  佐賀県は新年度から佐賀市富士町をモデル地区として、ICT(情報通信技術)を活用した地域づくりを進める。パソコン指導から特産品の電子商取引まで、包 括的に取り組む3年計画のプロジェクト。住民にICTの便利さや楽しさを広めるだけでなく、「葉っぱビジネス」で全国的に知られる徳島県上勝町のように収 入確保も狙って「情報化ビレッジ」の形成を目指す。

 富士町は本年度末までにブロードバンド(高速大容量)が整備される予定。情報通信基盤が整い、農産物や温泉、観光施設など売り込む資源にも恵まれているため、モデル地区に選んだ。

 計画ではICTになじみのない中高年や高齢者などを対象に、携帯電話やパソコンの活用講座を開催。講座だけでは習得が難しい人にはパソコンの設定から個別指導も行い、ICT活用を浸透させる。

 情報の発信・共有を図るため、地域ポータルサイトのシステムも開発。ブログや登録者同士で情報交換するSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などが利用できるようにするほか、特産物の電子商取引も可能にする。

 運営体制として県を中心に、情報関連企業やインターネット関係のNPO法人、農産物直売所などに呼び掛けて事業組合を設立。それぞれの得意分野を生かし、連携して進める。予算は経済対策の基金などを活用する計画で、新年度は約4900万円を組んでいる。

 徳島県の山あいにある上勝町は過疎化、高齢化に悩んでいたが、ICTを活用してモミジやカエデなどを日本料理の彩りとして販売。「葉っぱビジネス」の成功が全国的に注目を集め、町の活性化につながった。

 県情報・業務改革課は「まずは住民にICTを身近に感じてもらい、上勝町に続きたい。富士町を成功事例として県内全域へ広げたい」と話す。


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